スケールを33インチ、34インチ、35インチの中から選べるベース

レビュー

今回紹介するWLモデルは、(株)ディバイザーがプロデュースするバッカス・グローバル・シリーズ(BACCHUS GLOBAL SEIRIES)の製品。基本的なスペックは共通しているが、標準的な34インチのロングスケールの他、やや短い33インチ・スケール、やや長い35インチのエクストラ・ロングスケールと、1インチ(2.54cm)違いのモデルが用意されている。ユニークな企画で、楽器への探究心をくすぐる実に興味深いシリーズである。

今回はWLモデルにはいくつかのバリエーション(定価:65,000円〜110,000円税抜)があるが、その中からアッシュ・ボディの5弦ベース、WL-533ASH、WL-534ASH、WL-535ASHを採り上げて取材した。

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左=WL-534 ASH(34インチ)、中=WL-533 ASH(33インチ)、右=WL-535 ASH(35インチ)

 

■ミドルクラスに求められるハイクオリティさをクリアしたベース

スケールの違いを語る前に、WLモデルの基本的な仕様について説明しよう。

(株)ディバイザーは、ディバイザー、ヘッドウエイ、STR、バッカスなど様々なブランドをプロデュースしているが、今回紹介する製品はバッカスのグローバル・シリーズ。同社では、ハイクラス製品やハンドメイド製品を中心に製造する長野県松本市の自社工場の他に、フィリピンにも自社工場がある。フィリピン工場では、日本人のマスタービルダーの指揮の下、日本の工場と同等の設備の中で同等の規格の製品が丁寧に生産されている。バッカスでは、価格帯などによって2つの工場をうまく使い分けることで、ハイエンドのハンドメイド・モデルから大量生産品に至るまで、様々な製品を企画、開発、製造している。

どのメーカーでも、ラインナップが幅広い価格帯亘る場合、価格に応じて、使用する木材や仕様、加工方法、塗装、パーツ、装飾などが異なっている。今回のWLモデルは、ボディ材がアッシュのモデルで定価100,000円、ハードウッドのモデルで定価65,000円と設定されている。価格帯としては、いわゆるビギナークラスからミドルクラスに属しているが、ユーザー層は中上級者を対象としており、ライブハウスなどでの演奏からDTMなどのシビアなレコーディングに至るまで、充分対応できる高いクオリティを誇っている。WLモデルはフィリピン工場で作られる製品だが、現地スタッフは日本の本工場の高いスキルを受け継いでおり、極めてコストパォーマンスに優れた製品の製造をしている。まず最初に、そのクオリティの高さについて説明しよう。

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▲写真のモデル(WL-533ASH BLK/OIL)は、ブラックの木地着色とオイル・フィニッシュで仕上げられている。オイル・フィニッシュはその成分が木地の中へと染み込むため、木材の鳴りを充分に引き出す塗装として知られている。また、長年使用することで歴戦の深みを増す塗装として、ディバイザー製品に数多く採り入れられ、好評を博している。

 

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▲こちらのWL-535ASH STBは、シースルー・ブルーのウレタン塗装グロス仕上げ仕様。爽やかで深みのあるシースルー・ブルーがアッシュ材の美しい木目を充分に引き立て、さらにウレタンクリア塗装による鏡面グロス仕上げが施されている。

 

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▲ネック・ジョイントは4本のボルトによるデタッチャブル・タイプ。ネックプレートが少し傾斜する独自のヒールレス加工が施されるなど、サウンド面で一般的なJBタイプを踏襲しつつも、プレイアビリティを高めた仕様が採用されている。

 

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▲ネック材はメイプル、指板材にはローズウッドを使用。厳選されたローズウッドを使用され、取材した3本の指板はよく似た木目と色合いになっている。また、ボディ・カラーによって、メイプル指板のモデルも用意されている。

 

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▲ナット位置のネック幅は5弦モデルで46mm、4弦モデルで38mm。これはJBタイプと呼ばれるベースでしばしば採用されている細めのサイズ。特にロー・ポジションがナローな仕上がりになっている。

 

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▲JタイプのシングルコイルPUを二つ搭載。コントロールは2V1Tのスタイルで、トーン・ノブのプッシュ/プルのワンタッチ操作で、パンチのあるサウンドを生む直列配線となる“ターボSW”機能が搭載されている。フロントPUにカバー兼フィンガーレストが装着されているが、カバーを外すことでよりパワー感のあるサウンドが得られる。また、ピックガードは、塗装の美しさと質感を損なわないようにクリアタイプが採用されている。

 

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▲ターボSWはトーン・ノブをプッシュ/プルすることで、瞬時に切り替えが可能。ここ一番のタイミングでパワフルなサウンドが手軽に得られる。

 

ベースとしての基本的なデザインは非常にオーソドックスである。しかし、ハイクラスのモデルを思わせる厳選された木材の使用と塗装が施され、さらにターボSWによるパワフルなサウンドが大きな魅力となる。

続いて、今回のWLモデルの一番のトピックであるスケールの違いについて説明しよう。

 

■3種類のスケールがら自分にあったモデルを選べる

エレクトリック・ベースは、そのルーツであるプレシジョン・ベースに倣って34インチのロングスケールを採用しているモデルが多い。しかし、アクティブ回路の搭載や多弦ベースの登場などによって、よりスケールが長い35インチやそれを上回るエクストラ・ロングスケールの製品も少なくない。また、その逆でハイエンド・クラスのカスタム・ベースでは、33インチなどハイCを採用した5弦ベースなどをオーダーするベーシストも増えている。

このグローバル・スリーズでは、そのような状況をふまえてオーソドックスでオールラウンドなJBタイプを基に、34インチ・スケールだけでなく、35インチと33インチというプラス/マイナス1インチずつスケールが異なるモデルをリリースしている。これらの3つのスケールの中から、自分の演奏スタイルや体格、音楽性に合ったモデルを選択できるというこれまでにないユニークなラインナップが採用されている。

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▲BACCHUS GLOBAL SEIRIES WL-534 ASH 価格=100,000円(税抜)

WL-534ASHは、34インチ・モデルの5弦ベース。コンテンポラリーなJBタイプで、基本的にオーソドックスな仕様のモデルとしてオールラウンドに使用できる。この価格帯でありながら、ディバイザーらしい高級感のある仕上がりとサウンド、そしてカラーバリーションを持っている。

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BACCHUS GLOBAL SEIRIES WL-535 ASH 価格=100,000円(税抜)

WL-535ASHは、35インチ・スケールを採用した5弦ベース。持ち替えた時の印象としては、やや弦のテンションを強めに感じる。34インチ・モデルに比べると基本的なトーンのキャラクターは近いが、より張りがあり重く感じられるのと同時に、締まりがある。弦のテンションが強い分、よりボディを大きく震動させてことで、トーンの中にややアコースティックはニュアンスも増えているようだ。スケールが長いため、ローBの弦のテンション感は良好で、ピッチもかなり安定している。日頃5弦ベースを愛用しているプレイヤーであれば違和感はないだろうが、体の小さいプレイヤーや女性プレイヤー、ビギナーの中には、最初違和感を感じる人もいるかもしれない。

個人的な感想としては、5弦ベースの35インチ・スケールは今やスタンダードのひとつと言えるほど普及しており、スケールの長さそのものでさほど違和感はない。34インチのベースを愛用してきたプレイヤーも、ある程度弾いているうちに慣れるだろう。その意味では、5弦モデルよりも4弦モデルのWL-435の方がユニークな仕様と言える。

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BACCHUS GLOBAL SEIRIES WL-533ASH 価格=100,000円(税抜)

WL-533ASHは、33インチ・スケールの5弦ベース。弦のテンションこそ34インチよりも気持ち緩いが、基本的なサウンド・キャラクターはかなり近い。スケールが短い5弦ベースの場合、弦の振れ幅が大きいため弦がフレットに無駄に接触したり、低音に締りがなくなりがちだが、試奏した限りではそのような印象はない。この部分でもディバイザー製品の設計や製造面でのレベルの高さは感じられる。

スピーディでテクニカルな演奏を主体とするプレイヤーはもちろん、女性、ビギナーなどには特にお薦めで、34インチでの運指にストレスを感じる人などもぜひ試していただきたい。特にロー・ポジションでの運指のスムーズさは、大きなメリットと言える。

各モデルは、使用されているスケールによってブリッジの位置が異なっており、それぞかが最良のポジションやバランスで演奏できるようにデザインされている。

出荷時にセットされる弦は3モデルとも同様であるが、35インチと33インチの関しては、弦のテンションと自分の演奏スタイルを考慮しながら、より好みのトーンになるように、弦のブランド、種類、ゲージを試してしてみると良いだろう。

わずかの1インチのスケール違いであるが、演奏性やサウンドには確かに違いがある。ただし、スケールの長さだけでベースの弾き心地やトーンを語れるほど単純ではない。WLモデルを店頭で弾き比べることで、プレイヤー自身が“このスケールは弾きやすいか?”“どんなサウンドを求めているのか?”など様々な角度からこれらの製品を確認し、最も自分にあったモデルをセレクトして頂きたい。

 問い合わせ : (株)ディバイザー

 

2015/09/14
※価格を含む掲載内容は2015年9月現在のものです。

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